第十三回(2015年3月9日)

F ナガブチはどうなんだろう?最近株が上がってるけど。
S ナガブチの株が上がってるっていうか(笑)
M(り) ナガブチだけではないね(笑)
S ナガブチが好きであるかのように振る舞うと、情報がいろんな人に発信できるということが、あー、ここ文字おこしできるのかな・・・。でも、もう暴露しちゃったんだもんね?
F 大石さんのやつ?
M(り) したした。
S 大石さん・・・実はナガブチファンじゃないことが(笑)
F あれ?大石則雄さん?
S そうそう!山本くんが、「速報、大石さんは別にナガブチファンじゃなかった」って(笑)
F おかしいな、それ(笑)
S 書いてて(爆笑)
F 書いてたけど、あれ、ギャグだと思ってたけど?
S あっちがギャグなの!?
F あっちがギャグだと思うんだけどな?
S (爆笑)
F もう、どっちがどっちやら、分からないなあ。
S そうだよね。誰が言ってることが本当なのかみたいな・・・。
 あ!それ、開け方があるの!ここをこう(一瞬、離席する)
T 一応、事情を知らない人にざっくりと事情を説明をすると、長渕剛ファンを称する人たちが、「男たちの脱原発デモ」っていうのをして
一同 (笑)
F 称する(笑)
S 称する(笑)。そこが重要よ、でも。
T 東京で、この、長渕剛の音楽をかけながら、脱原発デモをやると。
F 長渕剛自身がね、脱原発の
S 実はね
F 発言を、発信してるらしいと。俺、全然知らないけれども。
H・M(あ) ふーん。
T 一応方向性としては、長渕剛の、その、大御心を、
S (爆笑)
F 大御心(笑)
T 鹿児島の川内原発の再稼働反対という、そっちの方向に、こう、盛り上げていこうという。で、ま、外山恒一自身もそこにいろいろこう、からんでいたりして、で、この間、一応、最後の、「男たちの脱原発最終デモ」というのをやったんですかね。
S そうですね。
T で、外山恒一なんかがいうのが、長渕剛が、たった一人で川内原発の前で「川内原発再稼働反対!」って言えば、3日間もあれば、全国から
S 信者が
T ナガブチ信者が集まると、そうすればさすがに再稼働するわけにはいかない。
一同 (笑)
T そのくらいの力を持ってるんだ、ナガブチはと。
S (笑)
T でまあ、単に長渕剛を「政治利用」するとかだと面白くないから、いろんな工夫を、陰謀を、まあ、練っていたわけですけど。
F 面白いのが、長渕剛とファンの関係として、やっぱこう、信者的なところというか、なんて言うかな、ファンにある種の自己責任感みたいなのを求める人なんですね。
S (笑)
F お前ら、デブになるな、身体を鍛えろみたいなことを発信する人だから。
S 教祖(笑)
F すごい、その、「兄貴」としての、ファンとの関係を逆手に取って「ファンが立ち上がらないでどーすんだ、ここで。」みたいな、「ナガブチが反原発の意志を明確にしているのに、ファンは何をやってんだ!」って、立ちあがったのが大石さんだったわけだよね。
S あ、そういう、「関係性」がナガブチとファンにはあるんだ。
F うん。そうそう。そこが一番大事だと思う。

T 外山恒一さんが、中川文人さんに聞き書き(?)した『ポスト学生運動史』という本がありますけど、
F 黒ヘル。
S そうそう。
T 90年代、前後の、法政大学における学生運動の闘争史。一般的にはその頃にはもう学生運動というのは壊滅していたと言われているけれども、それは単に外から見ていて、面白くないって見えていたんだけれでも、実はそうでもない。その中では熾烈な争いが、中核派と黒ヘルの間に、行われていたと。しかもそれが、かなり面白い感じで展開していたと。
S 面白い(笑)
T 我々も、それを読んで初めて、あ、こんなに90年代に、面白いことがあったんだなと。だから、ま、外山さんがよく言うけど、89年前後に一つ、こう、波があったんだけど、それを裏付ける、ま、証言。なんだけど、こう、呼吸をするようにほらをふくから、どこまで本当なのか分からない(笑)
S そうそう。コーヒーの彼女とか、どこまでが本当なんだろうって(笑)
T そうそう(笑)
Ma コーヒー?
S なんか、『ポスト学生運動史』で、中川さんにコーヒーを淹れてくれた女の子っていうのがいて、それが、中川さんが失恋したらしいっていう相手としても登場するし、中核派のボスとしても登場して
Ma その人、有名な人なんですよ。
S ほんとにいるの!?
Ma うん。
S あれはほんとに実在の人なんだ。
Ma 法政大学学生会館界隈では、伝説の人として語り草でしたね。私の周りでは中川さんよりずっと有名でした。
Mo へええ。
S え、じゃ、それはほんとに、中川さんの元彼女なんですか?
Ma 一応、そういう話を人づてに聞いてますけど、ご本人に確かめたことはないです。
S 本当なんだ!!!
T コーヒーの
S コーヒーの彼女実在なんだ(笑)
Ma 法政の学館がつぶれた原因はその人にあるというのは、ぼくの周りでは言われていた。
S ほんとに?中川さんの話によるとではなく?
Ma 違います。中川さんと関係を持ったのは、ごく最近で、学生時代はほとんどまったく知らなかった。彼の噂は聞いたことあったけれども。ぼくが所属していたのは、99年から03年の学生会館クラスタでした。当時の通説では、件の方が引き起こした暴力事件のせいで、学生会館がなくなることになるという風に言われていた。
S やっぱり、じゃあ、
T そこは「史実」
Ma 史実です。ただし、当時の世代の学館ノンセクトの立場からの状況認識なので、法政の中核派と見解を共有できるものではないでしょうね。
T ポスト学生運動史では、「とにかく学館をつぶされちゃいけない」っていう、中核派も黒ヘルも、共通認識があって、なんか問題が起こると、当局に介入される口実を与える。
Ma はい。
T だから、そこは頑張ろうっていうことをやっていたんだけれど、結局その後つぶれるんですね。
Ma うん。
T 学館が。
Ma 件の人がきっかけになって、という。僕は中川さんとは関係なく、法政ノンセクトに所属してるわけですけど、あれを読むとうちの歴史観と中川さんの歴史観は違うなとは思う。
S やっぱり違うんだ・・・。
S 法政は、学生運動が、今だに残っている、数少ない例でして
Ma うんうん。
S ま、早稲田にも革マルはいますけど、学生時代は運動なんて、完全に他人事だったから。
Ma 中核派はやばいというか、すごいと思いますけどね、ある意味。
S 早稲田の革マルもそうだけど、中核派とかって、私にとっては「名前は聞いたことある」くらいでしかなかったから・・・。
Ma まあ、そうですよね。中核派はすごくって、中川さんはそれをネタにしつつ、鏡としても存在しているんだなと思いますけれども。
S ほおお。
Ma ある種、中核派ではないけれど、中核派の存在によって、彼は輝くみたいな関係があるなと、自分としては見える。
F 在特会が前進社に
S そうそう、在特会が中核派に
Ma あんまり大したことなかったみたいですね。
T 何?
Ma 在特会が、前進社に行って抗議するというのが最近あった。中核派の本拠がある、池袋の前進社。そこに非難するデモを仕掛けるという行動です。でも、すれ違うというか、
T 会話が成立しない?
Ma あんまり闘争もせずに、すれ違って終わったみたいな。
F そんな感じだったんだ。
S なんとなくやってみただけだったんだね。
F 名前を売りたかっただけ(笑)
Ma 中核派的なものが強くなっている状況に対しての、在特会側の牽制、みたいなことがある気もします。
S うーん。
Ma でも、それはそうなっていくんだろうなと。
T それこそ、松平さんの2013年の映像とか見ると、在特会がすごい人数多く見えて
S や、あのときは一番多かった
T やはり2014年以降、ま、2013年がピークだったんじゃないかなと、
Ma はい、そうですね。
T 2014年以降、やはり
Ma デモの人数や勢いは圧倒的に減少しましたね。
T あの、損害賠償の判決も出たし
Ma うん。
T まあ、もう、未来はないだろうと。あれに類するものは今後出てくるかもしれないけど。
Ma 逆に、自分の直感としては、在特会は今後伸びるだろうなと思っています。
Mo 伸びる?
一同 うーーーーん。
Ma 表面的にはPC派が勝つんですよね、むしろ。逆に中核派の方が表面的には勝つんだけど、その上で、在特会は更に伸びると思う。
T そこで、でも、反在特会を中核派と言ってしまって良いの?PC派を、中核派って
Mo (笑)
F そこは、分からないところがある。
S 分からない。その辺の呼吸は私は分からない・・・。
F 中核派は在特会なんて気にしてないんじゃないの?と思うけど。
Ma あんまり、気にしてないでしょうね。うん。
S 若い人で中核派に入る人がっていうこと?
Ma うーーーーん。
S 違うのかな・・・。
Ma 確かに、現在の在特会カウンターの界隈と、中核派は、人間の交流としてはまったく無関係です。でも、ポリティカルコレクトネスが極限まで行くと、中核派みたく、血債主義になっていく。
S ああ。
Ma アジアへの戦争責任であるとかを考えていくと、ああいう方向に行くというのは分かるんですけどね。
Mo 思想的にっていうこと?
S うーん。
T 行きかねないってことね。
Ma うん。
F そうなのかな・・・。
S その辺の呼吸は分からないから・・・。
Ma ヘサヨみたいなものがあって、中核派みたいなものがあって、
T 何となく地続きってこと?
Ma ヘサヨの思想と行動を徹底させたら延長に中核派があると思う。さらにもっといったら東アジア反日武装戦線になるのかもしれないけど。
F まあ、確かに在特会的なものがね、これからも、全然下地はあるから、っていうのは

Ma まだ伸びますよ、在特会は。
F 在特会自体が、すごい伸びるかは俺も分からないけど
Ma ええと、在特会「的」なものがかな。
F あー、在特会「的」なものね。
S 「的」なものね。
Mo それは確かにね。桜チャンネル的なものとか。
一同 うーん。
F ねー、出てくる可能性ある。
S それが消えないって感じは、すごいする。うん。

S この辺、若い人達は聞いててどうなんですか?ひかないでいてくれるとは思うんだけど・・・。どう?
Mo(あ) どう・・・。
S 漠然としててごめんね!
F (苦笑)
T これ(ワイン)、いただいていいですかね?
M(り) あたしもほしい。
S 周りの人とか、どうなってる、とか・・・。
M(り) ありがとう。
Mo(あ) 活動してる人とかは、ちょっと、まだ知り合いにいないですよね。
一同 ふーん。
H 確かに私も、いない・・・。
F やっぱり、彼女たちの年代の人たちが、運動に対してどういう態度を取っているのかってこと?
S そう!だって、それこそさ、外山史観で言えばさ、彼女たち95年生まれだから、戦争しか知らない世代なわけじゃないですか。
T テロとの戦争
Mo(あ)・H うーん。
S いわゆるテロとの戦い。テロに対する防護策による同調圧力によって、どんどん苦しくなっていくみたいな。それが日本の場合、911よりも早く、95年のオウムで始まるっていうのが、あ、あれ外山史観っていうか、元ネタが?
Ma あー、どうなんでしょうね・・・。笠井潔が「例外状況」みたいなことを言っていますね。
Mo (こどもを見ながら)笑った!
S で、まあ、そういうのが始まってるっていうのが外山史観で、80年代以降学生運動みたいなのが消えたっていうのはウソだっていうのをずーっと言ってて、で、当時の学生運動の人の話を聞き書きするっていうのが、実は外山さんのライフワークなの!
Ma うんうん。
S で、あるときに、彼女たち、戦争しかしらない世代なわけで・・・。
Ma まあ、そうですね。
F その言葉は面白いね。
Ma 「頭脳警察」な感じですね
S 95年生まれ。あ、頭脳警察な感じ?
Mo (笑)
T よく分かんないそれ。
Mo なるほどね。
Ma 友達から聞いたことで、ぼくもよく知らないけど、「戦争しか知らないこどもたち」という歌が「頭脳警察」にあるらしいですね。
Mo 頭脳警察って全員知ってるんですか?(笑)
Ma 大元に『戦争を知らないこどもたち』という映画が昔あって、それに対して、「僕たちはむしろ、戦争しか知らないこどもたちだよな」というのを、あえて逆に言ってみる。それは、自分の中の感覚としてはある。「自分は戦争しか知らないな」って、逆説的にね。

S (笑)
Ma ポストモダン的なアイロニーなのかも知れないけど。
Mo 頭脳警察って
T アイロニーで
S (笑)
T まずそこから(笑)
Mo 70年代前後の
S 大人な意見が(笑)
Mo 反社会的な団体。
一同 ふーん。
Mo PANTAっていう。
Ma 笠井潔の論の援用なのだけど、今の日本はすでに「例外状態」にあり、戦争状態なのだ、日本で生きてるだけで、僕らは戦争に巻き込まれている。日々戦争を生きている、みたいな実感はあります。これは、自分としては感覚として分かりつつ、ま、さすがに、中東の方たちに対して、自分は戦争を知っているというのはウソだなとも思う。
一同 うーん。
Ma それは良くないかもとは思うんだけど、ただ、いろんなところで戦争みたいなものはある。学校の中でも戦争はあるし、職場の中でも戦争はあるし、家庭の中でも戦争はある。ギリギリのところで戦って、ある種、透明なものに、飼い殺されているみたいな。幾原邦彦なんかが、繰り返し、現しているところだと思うんですけどね。「向こう側の世界」に行った人は、自殺しちゃったりするみたいな。
S うーん。
Ma 「透明なもの」に入るか、それとも、その外部に行ってひっそりと自殺しちゃうかの二択。公的な戦争というより、私的な場における日常的な戦争が、日本での特徴としてある。
S 私、幾原監督は、やっぱ、ウテナしか知らなくて、その他の作品は分からないのだけど、透明な世界って感じが強くなるんですか?
Ma そうですね。今、やってる『ユリ熊嵐』もずっとそういうことがテーマですね。
T えーと、ウテナの監督?
S そう、ウテナの監督です。元々、セーラームーンとかの演出とかをやっていた人。
Ma そうですね。
S なんだよね。
F へええ。
S だから、ウテナは、その、セーラームーンみたいな、少女アニメ、とか、そういうものに表象される「少女」的なものを、パロディーにした、もう、最高傑作だと思います!

Ma うん。あれも、演劇系の人ですよね。
S あー、元々、寺山好きだったと聞きます
Ma あー、そうでしょうね。ウテナはやっぱり、寺山臭はしますよね。
S するする、しますね(笑)

Mo 僕なんかからするとさ、70年代に、山岸凉子とか
M(り) あーーー。
S (爆笑)
Mo 次元が違うっていうか、
T 山岸凉子、萩尾望都。
Mo そうそう、山岸凉子とか、萩尾望都とか、そこら辺の三原順の、『はみ出しっこ』とか、
M(り) ねー。
Mo 僕、もう、あそこら辺の頃、「少年」が読んでたマンガと、本当にレベルが違うの。
一同 へえええ。
Mo もう、『日出処の天子』なんて、もう、
M(り) ああ。
Mo 夢中で読んだしさ。なんて言うの、もう、アートというか、文学性が高いから、
T いわゆる、少年マンガとか、少女マンガっていうのとは、やっぱりこう、
Mo そう、少年マンガとは、全然次元が違う
T 萩尾望都とかもそうですよね。
Mo ドキドキしたもん。『日出処の天子』なんて。聖徳太子をこんなふうに描いていいの?って(笑)
S そうだよね(笑)
T 聖徳太子と蘇我蝦夷の恋、っていうのを中心に据えて
一同 (笑)
S 元祖BLみたいに言われるよね。
F そうだね。
Mo そうだよね。
T 元祖BLだね。でも、蝦夷は他の好きな女の子とくっついちゃう。
一同 (苦笑)
F 修羅場だ・・・。
S 修羅場、修羅場!
T で、そこに、蘇我蝦夷と、妹の、この、近親相姦みたいなのがからんできて、グッチャグチャ。
F ドロッドロやね(笑)
T ドロッドロ。
Mo それが、ちゃんと落ち着いた話なんだよね。別に浮わついた、あー、BLでっていう感じじゃなくて、もう、本当に歴史もんに相応しい風格を持っていて
T 風格がある。
Mo 山岸凉子のすごいところ。
F BLってまったく見たことないんだよな・・・。
T あの、青池保子とか
Mo ああ。
T エロイカで、ブレイクするけど、その前の、何だっけ・・・。
Mo 竹宮恵子?
T いや、青池保子の他の作品で、登場人物がみんなホモセクシャルで
Mo ああ、『イブの息子たち』。
T かな?
Mo エロイカの前は『イブの息子たち』。
T エロイカの前は『イブの息子たち』か。あの辺は、そのー、山岸凉子とか、萩尾望都とかもそうだけど、竹宮恵子もそうだけど、やっぱり、同性愛に関して、わーっと、裾野が広がったんですよね。同性愛が出てくることについて。
S あれ、何であの世代って、ああなの?『トーマの心臓』とか。
T ああって?
S 要するに、更に下の世代はBLって、性産業というか、消費しだすわけだけどさ。それより前に、そういう感じともちょっと違う、まあ、文学性の高い、そういう同性愛ものが、多分、少女漫画で、広まってるんだけど、あれ、何でなの?
Mo それも、80年代、1970年代の後半からよ。
S ですよね。
Mo 今で言えば、全然、先取りも先取り。
F そういった運動があったわけではない?実際のLGBTの運動とか?
Mo アメリカで少しあったくらい。あり「始めた」ぐらい。
F それが同時期ぐらいにあったんだ。
Mo アメリカではね。盛り上がったのはやっぱりエイズのときからだから。
F ふーん。
Mo あの、HIVのエイズが、ゲイがって言われたぐらいから。だから85年ぐらい。その前は、知る人ぞ知るみたいな。あったけど、ゲイリブみたいなの。
S ふーん。
Mo なんで、あんな日本の少女漫画、女性漫画作家たちが、同性愛に着目したのか、
S 不思議!
Mo わかんない・・・。竹宮恵子とか、萩尾望都とか、
S いやらしい、感じでもないんだよね。
Mo 大島弓子とか山岸凉子とか。
S あれ、なんでなのか不思議。
Mo なんでなんだろうね。

S りーさん、解剖やってるんだ?
M(り) ?
S 大学院のとき。
M(り) あー、やってる、やってる!
S そうなんだ。
M(り) 解剖実習でしょ?うんうん。人体解剖。
一同 ふーーーん。
S 良かったら、話を聞きたい。やだったらいいんだけど・・・。
M(り) 全然いいけど?
Mo 見てるんじゃなくてやったの。
M(り) もちろんやってます。
Mo 看護師って普通見るだけじゃない?
M(り) えっと、大学院の、うちの病院の、あのー、解剖学の、あ、うちの病院じゃない、うちの、看護学校の、あー、うちは看護学校じゃない、医学部医学科の看護学科で、看護学科の、解剖学の先生がいて、キメラって知ってます?
Mo キメラ細胞?
M(り) そうそう、キメラ細胞。あのー、うずらの卵に、どっちだっけな、何かにうずらの卵を・・・、とにかく、違う鳥類の、あのー、こう、ねえ、入れて、羽だけ、こう、違う鳥類
Sa へええ。
M(り) っていうものがキメラっていうんだけど、で、胸腺
Mo うん。
M(り) この辺にある胸腺から、そのー、あー出てこない、自分のものと、自分のものじゃないのと、こう、判断するやつ、
S うん?
Ma 免疫?
M(り) 自己免疫か。
一同 あー。
M(り) あの、免疫が、自己免疫を住み分けるような。あのー、一つの器官が胸腺っていうんだけど、ま、その、胸腺が、この、羽は、自分のものじゃないって言って、羽が、落ちるのね。
一同 うーん。
M(り) 本当に、自分の身の、もののはずなのに。羽が落ちちゃう。で、キメラっていうんだけど、羽だけが、うずらだったかな、ま、とにかく、そういうものを、研究している、胸腺の研究をしている人がいるんだけど、それが、ドイツかな、に、キメラの研究の権威の人のすぐ下で働いてたって人がいて、で、なぜか看護学科の先生をしてて、その前は医学科でやってたけど、看護科に行きたいって言って看護科に行って。
S うん。
M(り) で、その先生がいたから、学部のときは見学だけだけど、大学院のときには、その先生が解剖したいって言って、
S ふーーーん。
M(り) 一応選択性やけど。
Mo 何人で一体ぐらいやったの?
M(り) えとね、四人で一体。
Mo 四人で一体。あー、じゃ、医学部とかわんない。
M(り) そうそう。
Mo 医学部の友達も同じぐらいだった。
M(り) で、並行してやるんだけど、医学部医学科の人たちがやって。それ、一回一回、遺体を包むのね。
S うん。
M(り) 包んで、持っていく。
Sa どんな人でした?
M(り) えっと、私が見た人は、漁師さんだと思うんだけど、すっごい刺青してて
Mo 男性?
M(り) 男性。
Sa 漁師?
Mo 献体した方?
M(り) 献体した方。多分この人は漁師だったんだねって話をして。あの、一応献体した方の、何だろう、個人的な関わりを持てないようになってるんだけど、一応。一応、なんていうんだろうなあ、その人の、データみたいなのは分かるものがあって、
S ああ。
M(り) だから、あのー、何歳の男性で、いついつ亡くなったって
Mo 何歳ぐらいの方?
M(り) 多分、60代とか、50代。若めだった。
Mo けっこう若かったんだ。
M(り) ・・・違う。それは隣だ。あたしは女性だった。子宮があったから。
一同 (笑)
M(り) そうそう、ていう感じで、まず男性と女性で全然違うから、でも一体しか関われないから、その、自分が見たところの隣のところの
Sa 見る?
M(り) そう、隣のを見る。あと、病気とか、全部、残ってる、から、身体の中に。だから、なんだろう、なんの手術をしたやつですっていうのを聞いたりとか。最初は、こう、皮膚からやってくから、皮膚の下に、脂肪があって、脂肪の下に、筋肉があって、筋肉の下に臓器があるんだけど、順番にやっていくんだけど、
一同 へええええ。
Mo 一体って、何日ぐらいでやるの?
M(り) 何日ぐらいやろ。
Mo 大体でいいんだけど。
M(り) 本当は、医者は、半年かけて、一日に二時間、あー、二コマ?だから、三時間か。で、半年かけてやる。
一同 へええええええ。
S おお・・・。
M(り) それは、本当に、神経って、ほんとに神経なんだ。
S うーん。
M(り) 線みたいに見える。で、まあ、皮膚をまずはいでいって、で、脂肪は、とにかく取るだけの作業だから
S うん。
M(り) 取って、くわけ。大丈夫?
Mo うん、大丈夫。
M(り) で、筋肉が見えて、

M(り) で、筋膜が見えて、筋膜を割いて、あれ?あ、神経が先だ、で、
T 神経って目に見えるものなの?
M(り) 見えるんです。
S 線なの、線なの。
T すごいやっぱり、すごい細いイメージがあるんだけど。じゃ、けっこう太い?
M(り) えっと、太いっていうか、ほっそい神経があって。これ、面白いのが、正座するとしびれる、じゃないですか、あれ、神経が圧迫されてしびれるんだけど、
S ふーん。
M(り) あれ、どっちだ?それは細い神経が・・・圧迫されるからしびれる
T 血管じゃないの?
M(り) 神経。神経って、大体血管の真横くらいにあるの。
Mo リアルに見えるんだ。神経
M(り) 見えるっていうか、線です。ほんとに線っていうか、糸みたいな。
Mo 白いやつ?
T 髪の毛みたいな?
M(り) 髪の毛っていうか、普通に、糸みたいな感じ。
S じゃあ、いわゆる白い糸の伝説って・・・。
M(り) ああ!耳には絶対ないけど(笑)
S 怖い!
M(り) 例えばぶちって、ここ(腕)を切ったとしたら、神経も見える。
一同 へええええ。
Mo 神経と一緒なんだっけ、血管は?
M(り) あー、血管の横には大体神経が走ってる。だから、脂肪を取っていきながら、血管と神経を探す。
S うーーーん。
M(り) 脂肪の中を泳いでるから。で、それを切らないようにしながら。面白いの、神経とかつながってるから、ちょっとなんかを引っ張れば、こっちが動いたりとか。
S へええええ!
一同 ふーーーん。
M(り) 頭は面白かった。
Mo 頭面白いの?
M(り) 面白い!
T まあ、一番面白いでしょうね。
S どう?
T 複雑だからね。
Mo 頭はどう切るの?こう?
M(り) うーん、こどもの頃って、この辺がペコペコする。あれって軟骨が固くなっていくんだけど、
T 最初は割れてるんだよね。
M(り) だから、人間の頭蓋骨って、こう、こういう線があって。そうそう、それも、頭皮をはいで、で、ここは、あんま脂肪がないから、はいだらすぐ骨が見えて、パカッてあけて
Mo あくんだ・・・。
M(り) 脳って。
S ふーーーーん。
M(り)脳すげーって。